なぜ勉強はいつも“お菓子”に負けるのか

未分類

――「嫌いな食べ物」が食卓に並ぶ構造の問題である

勉強は大事である。やったほうがよい。役に立つ。
だが大半はやらない。継続する人は少数派である。

ここで「意志が弱い」と言い出すのは雑である。
勉強が続かない理由は、性格ではなく 食卓の構造で説明できる。

それはこういう状況である。

  • テーブルの上に「嫌いな食べ物」が出ている
  • ただし「食べても食べなくてもいい」と言われている
  • その横に、お菓子が山ほど置いてある
  • お菓子は一口でうまい
  • 嫌いな食べ物は、食べても満足が遅い

この条件で、嫌いな食べ物を選ぶ人が少ないのは当然である。
勉強も同じである。負けるように出されているのである。


1. 勉強は“味”で負けているのではない。“請求書”がないのである

嫌いな食べ物を食べる人は、なぜ食べるのか。
答えは単純である。

食べないと困るからである。

  • 栄養が必要
  • 体調を崩す
  • 医師に止められる
  • 家族に出される
  • ルールがある

要するに、そこには「食べない自由がない」か、少なくとも「食べないコストがある」。
これを本稿では 請求書と呼ぶ。

請求書のない嫌いな食べ物は、永遠に“いつか”で終わる。
請求書のない勉強も同じである。


2. 多数派は「お菓子に負けている」のではない。勝負の土俵が違うのである

よく「誘惑に負ける」と言う。
違う。誘惑が強いのではない。お菓子が強すぎる設計なのである。

お菓子の強さは、味ではなく機能である。

  • すぐ食べられる(準備が要らない)
  • すぐ満足する(報酬が速い)
  • 失敗がない(恥も評価もない)
  • いつでも食べられる(時間固定がない)

一方、勉強はこうである。

  • 食べ始めが重い
  • 効き目が遅い
  • 下手だと痛い(できなさが出る)
  • “ちゃんと食べろ”が付く

この条件で「勉強する人が少ない」のは正常である。
多数派は負けているのではない。そもそも勝てないルールで戦わされているだけである。


3. 神髄:嫌いな食べ物を食べる人は「味覚が強い」のではない

――食卓を支配しているのである

ここが神髄である。

嫌いな食べ物を食べる人は、意志が強いのではない。
努力家なのでもない。
ましてや「我慢が得意」でもない。

食卓のルールを持っているだけである。

ルールとは何か。
嫌いな食べ物に、次の三つを与えているのである。

  1. 出る日が決まっている(期日)
  2. 量が決まっている(金額)
  3. 残すと次に影響する(未払い)

これが“請求書”である。
請求書があると、嫌いな食べ物は「気分」から「予定」に変わる。
予定になった瞬間、実行は増える。これは精神論ではない。


4. “請求書の三要素”である:期日・量・未払い

① 期日である

「いつでも食べていい」は「食べない」である。
よって期日を決める。

ただし「毎日」は失敗しやすい。嫌いなものを毎日出すと嫌悪が増幅する。
必要なのは美徳ではない。支払日である。

② 量である

量は多いほどよいのではない。
嫌いな食べ物は、少なすぎても意味がないが、多すぎると拒否反応が出る。

重要なのは量の大小ではなく、量が確定していることである。
確定していれば、脳は迷わない。

③ 未払いである

ここが最重要である。
残しても何も起きないなら、請求書ではない。飾りである。

ただし罰を強くすると食卓が破壊される。
現実に効く未払いは、次の二つである。

  • 損として残る(残すと損をする)
  • 面倒として返る(残すと後で余計に面倒になる)

損と面倒は、人間をよく動かす。悲しいが真実である。


5. もう一つの神髄:嫌いな食べ物は“主菜”にしてはいけないのである

――目的を「栄養」から「平常運転」に落とす

嫌いな食べ物を主菜にすると、食卓は毎回戦場になる。
勉強も同じである。

勉強を「成長の主菜」に置くと、常に重い。
だから目的を落とす。

  • 目的:立派に食べる → 食卓を壊さない
  • 目的:栄養を完璧に取る → 未払いを作らない
  • 目的:頑張る → 淡々と支払う

ここで勉強は、「変身イベント」から「家計の固定費」に変わる。
固定費は、好き嫌いでは払われない。払うのである。


6. まとめである

勉強しないのは怠けではない。
嫌いな食べ物に請求書が付いていないからである。

多数派が勉強しないのは正常である。
お菓子の方が“速く・軽く・痛みがなく・いつでも食べられる”からである。

少数派に回る方法は一つである。
食卓を支配せよ。

  • 期日を決める
  • 量を決める
  • 未払いが損・面倒として残るようにする
  • 勉強を主菜にせず、固定費に落とす

意志を鍛える前に、食卓を作り直すべきである。
食卓が変われば、行動は自然に変わるのである。

タイトルとURLをコピーしました